在宅ワークの日々を送っていると、パソコンを閉じた瞬間に頭も一緒に切り替わってくれたら……と思うことはありませんか。同じ部屋で仕事も休憩も済ませてしまうぶん、夜になっても仕事モードがどこか抜けきらない。私自身、在宅で原稿を書く仕事をしていると、気づけば布団の中でも明日の締め切りのことを考えてしまう夜がありました。今回は、在宅ワーカーの寝つきが悪くなりやすい理由と、「入眠儀式(スリープセレモニー)」という考え方、そして今夜から試せる具体的なルーティンを紹介します。
なぜ在宅ワーカーは寝つきにくくなるのか
在宅ワークと寝つきの悪さには、いくつかの要因が重なっていると考えられます。
- 仕事とプライベートの境界が同じ空間に同居してしまうこと。デスクとベッドが数メートルしか離れていない部屋では、脳が「オフモード」に切り替わるきっかけをつかみにくくなります。
- 通勤という、強制的に気持ちを切り替える時間が消えたこと。オフィスへの行き帰りは、実は無自覚のうちに仕事モードから解放される時間でもありました。
- 決まった時刻に外へ出る機会が減り、生活リズムそのものが乱れやすくなること。
このあたりの背景は、在宅ワークと睡眠の関係についてまとめた記事でも触れていますが、意識的に「オンとオフの境界線」をつくる工夫をしない限り、体は仕事モードを引きずったままになりやすい、というのが実感です。

入眠儀式(スリープセレモニー)という考え方
入眠儀式とは、毎晩ほぼ同じ手順を繰り返すことで、「これから眠る時間だ」と体と脳に知らせていく習慣のことです。特別な行動である必要はなく、むしろ地味な繰り返しの中にこそ意味があるといわれています。
ポイントは、順番をなるべくそろえること。
- 就寝前に決まった行動を、毎晩ほぼ同じ順番で行う
- ひとつひとつの行動が、繰り返すうちに「眠りのスイッチ」として脳に刷り込まれていく
- 結果として、体内時計(サーカディアンリズム)を整える助けにもなり得ます
体内時計と睡眠の関係については、厚生労働省のe-ヘルスネットでも紹介されているので、気になる方はあわせて読んでみてください。
この記事を書いた人:ちき(快眠ヒルズ編集長)
一人暮らし歴は約15年、その間に3回の引っ越しを経験しました。引っ越しのたびに部屋の広さや収納事情に合わせてマットレス・枕・掛け布団などの寝具を一から見直し、入れ替えてきました。現在は結婚し、一軒家で暮らしていますが、一人暮らし時代に培った「限られた予算とスペースでも後悔しない寝具選び」の視点は今も変わらず、メーカー公式情報や第三者のレビューといった一次情報をリサーチしながら、実生活に基づいた記事を執筆しています。
今日から試せる入眠ルーティンの具体例
難しく考える必要はありません。気になるものをひとつだけ選んで、今夜から試してみてください。
就業後、ワークスペースから物理的に離れる
PCを閉じたら、別の部屋か、せめて視界に入らない場所まで移動してみましょう。同じ部屋で仕事も休憩もしていて頭の切り替えができない、という方にはとくに試してほしいステップです。私も仕事部屋で過ごす時間が長かった頃は、椅子から立ち上がってリビングに移るだけで、意外と気持ちが切り替わることに驚いた覚えがあります。

入浴は「就寝の1〜2時間前」を目安に
就寝の1〜2時間前に入浴を済ませておくと、上がった深部体温が下がっていく過程で眠気が訪れやすくなるといわれています。布団に入ってもなかなか体が休まらないという方は、入浴のタイミングを少し早めてみるだけで変わることがあります。
カフェインは「飲む時間」も見直してみる
意外と見落とされがちですが、カフェインをいつ飲むかも入眠に関わってきます。カフェインの作用は数時間ほど続くとされ、夕方以降のコーヒーや緑茶が、眠る頃になっても頭を冴えさせてしまうことがあります。在宅ワークだと家にいながら何杯でも淹れられてしまうぶん、気づかないうちに摂取のタイミングが後ろ倒しになりがちです。午後の早い時間で一区切りつけてみるのも、試す価値のある工夫だと思います。
寝る前はスマホと距離を取る
就寝30分〜1時間前には、スマホを別の部屋に置くか、手の届かない場所へ。画面から出るブルーライトは、眠気を促すホルモンであるメラトニンの分泌を妨げる可能性が指摘されています。ただ、それ以上に厄介なのは、SNSやニュースの内容そのものが脳を興奮させてしまうことかもしれません。寝る直前まで見てしまうという方は、まず物理的に距離を取ることから始めてみてください。
照明を段階的に落としていく
就寝に向けて部屋の照明を少しずつ暗くしていくと、体が自然と「休むモード」に向かいやすくなります。寝る直前まで明るい照明の下で過ごしている方は、間接照明やナイトランプに切り替えるだけでも変化を感じられるはずです。

翌日の準備を先に済ませておく
服や持ち物、翌日のタスクを整理しておくと、頭の中の「気がかり」を減らせます。布団に入ってから翌日のことを考えて眠れなくなる、という方に向いている方法です。
寝具環境そのものを点検してみる
マットレスや枕、寝室の温湿度など、眠る環境そのものを見直すことも欠かせません。入眠儀式を試しても寝つきや眠りの質があまり変わらないという場合は、環境要因が大きい可能性もあります。詳しくは寝具環境の見直し方をまとめた記事もあわせてご覧ください。
夜の儀式とセットで意識したいのが、朝の過ごし方です。起床時刻をできるだけそろえ、朝に光を浴びる習慣を持つことで、体内時計が整い、夜の入眠儀式の効果も出やすくなるといわれています。夜だけをがんばるより、朝と夜をセットで考えるほうが、案外近道かもしれません。
なお、ここで紹介したルーティンを続けても寝つきの悪さがなかなか改善しない場合や、日中の強い眠気・体調不良が続く場合は、自己判断で抱え込まず、睡眠外来など専門家に相談することも検討してみてください。
寝室の温度・湿度も、地味に効いてくる
ルーティンを見直しても寝つきの悪さが変わらないときは、寝室そのものの温湿度もチェックしてみてください。個人差はありますが、目安として室温は18〜20℃前後、湿度は50〜60%程度に保てていると、体がすっと休息モードに入りやすくなると言われています。在宅ワークをしていると、日中は仕事部屋として快適な温度に慣れているぶん、夜になって「なんとなく暑い/寒い」と感じにくいこともあるので、寝る前に一度エアコンの設定温度を見直す習慣をつけるだけでも違いが出るはずです。
簡単なリラックス法をひとつ加えてみる
入眠儀式の合間に、深呼吸を数回繰り返す、手のひらの真ん中にある「労宮」というツボを軽く押す、といった数十秒でできるリラックス習慣を挟むのもおすすめです。難しいことをする必要はなく、「これをやったら眠る前の合図」と体に覚えさせるアクセントとして取り入れるだけで十分です。
まとめ
在宅ワークは仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、それが寝つきの悪さにつながっていくケースは少なくありません。だからこそ、毎晩同じ行動を繰り返す「入眠儀式」が、脳と体に眠りへの合図を送る助けになります。今日紹介した中からひとつだけ、無理のない範囲で今夜から始めてみてください。完璧を目指す必要はなく、続けられることのほうがずっと大切です。


コメント