枕を新しく買ったとき、「なんだか寝起きの首が重い気がする」と感じた経験はないでしょうか。私自身、引っ越しのたびに枕を選び直してきましたが、一度、高さを適当に決めてしまって、しばらく首や肩の重さが抜けなかったことがあります。あとから振り返ると、あれは典型的な「高さが合っていない枕」のサインだったのだと思います。
枕を選ぶとき、素材や柔らかさにまず目が向く人は多いはずです。私も最初はそうでした。でも実際に不調との関わりが深いのは、どちらかというと「高さ」の方だと言われています。仰向けで寝たときに首の骨(頸椎)が緩やかなS字カーブを保てる高さが理想とされていて、そこからズレると首や肩まわりの筋肉に負担がかかりやすくなる、という指摘です。この記事では、その「高さのズレ」が具体的にどんな不調につながりやすいのかを、原因の面から整理してみます。
この記事を書いた人:ちき(快眠ヒルズ編集長)
一人暮らし歴は約15年、その間に3回の引っ越しを経験しました。引っ越しのたびに部屋の広さや収納事情に合わせてマットレス・枕・掛け布団などの寝具を一から見直し、入れ替えてきました。現在は結婚し、一軒家で暮らしていますが、一人暮らし時代に培った「限られた予算とスペースでも後悔しない寝具選び」の視点は今も変わらず、メーカー公式情報や第三者のレビューといった一次情報をリサーチしながら、実生活に基づいた記事を執筆しています。
特に気をつけたいのが在宅ワーカーです。日中デスクワークで前かがみの姿勢が続くと、首や肩まわりの筋肉はすでに緊張した状態になりやすいと言われています。そこに高さの合わない枕が重なると、夜のあいだも首が自然な位置に戻りきらず、日中にたまった負担がリセットされないまま朝を迎えてしまう……という、地味に厄介な悪循環が起こりやすくなります。
高さが合わない枕によって引き起こされるとされる不調
枕の高さのズレは、高すぎるか低すぎるかで出やすい症状の傾向が変わってくるようです。複数の専門サイトを見比べてみると、だいたい次のような傾向が共通して挙げられていました。
| 枕の状態 | 指摘されている主な不調 |
|---|---|
| 高すぎる枕 | あごを引きすぎた姿勢による気道の圧迫からのいびき、首筋の筋緊張による首の痛み、血行不良からくる肩こり、ストレートネック傾向 |
| 低すぎる枕 | 首が反り返ることによる負担、後頭部の圧迫感や寝ている間の頭痛、腰が反りやすくなることによる腰まわりの不調 |
高すぎる枕については、「あごを引いた姿勢が続くことで気道が狭くなり、いびきにつながりやすい」「首筋の筋肉が緊張し続けることで痛みに発展する」といった指摘があります出典:nishikawaショップ「枕の高さが肩こりや首の痛みの原因?合わせ方や枕の選び方を解説」。整形外科の情報発信でも、高すぎる枕によって肩や肩甲骨の筋肉にストレスが生まれ、神経痛を伴う場合もあると説明されています出典:足立慶友整形外科「枕が合わない?適切な枕の高さとは〜仰向け編〜」。
一方で、枕の高さが合わないことが頭痛や肩こり、首こりの引き金になり得るという点は、複数の睡眠関連メディアでも共通して触れられているようです出典:Emma Sleep Japan「枕が合わないと頭痛・肩こり・首こりの原因にも!痛くならない枕の選び方」。不自然な寝姿勢を我慢して取り続けることで、痛みが他の部位にまで広がっていくケースがあるという指摘もあり、ここは軽く見ない方がいいポイントだと感じます。
整理すると、どのケースにも共通しているのは「頸椎の角度が適正な範囲から外れて、首や肩まわりの筋肉・血流に負担がかかり続ける」という構造です。高すぎる枕は首から背骨にかけて前方に折れ曲がった姿勢を作りやすく、気道が狭くなることでいびきが出たり、筋肉の緊張が肩こりや首の痛みにつながったりします。逆に低すぎる枕は頭が後ろに反った状態が続きやすく、後頭部の圧迫や血流の乱れから頭痛が出やすくなり、腰まで反ってしまうことで腰への負担につながる場合もあると言われています。こうした緊張状態が一晩中続けば、体が深い眠りに入りにくくなり、睡眠の質そのものが下がってしまうのも見逃せないところです。ただ、これらはあくまで指摘されている傾向であって、症状が強く出ている場合や長く続く場合は、自己判断だけで済ませず整形外科など専門家に相談することも検討してみてください。
自分に合う枕の高さを、実際に測ってみる
不調の原因が枕にありそうだと分かっても、「では自分にとっての適正な高さは何cmなのか」が分からなければ、次の一歩を踏み出せません。ここでは、特別な道具がなくても自宅でできる測り方を、寝姿勢別に紹介します。
仰向けで寝ることが多い方は、壁を使って測るのが簡単です。背中・お尻・かかとを壁につけて、力を抜いた自然な姿勢で立ってみてください。このとき、首の後ろのカーブが一番深くへこんでいる部分と、首の付け根にある骨(第7頸椎)との間にできる隙間の大きさが、そのまま必要な枕の高さの目安になります。一般的には1〜6cm程度に収まる方が多いですが、これはあくまで目安なので、実際に寝てみて顎が軽く引けた状態、視線がまっすぐ天井ではなくやや足元寄りに向く高さが理想です。
横向きで寝ることが多い方は、壁に肩をつけて立ち、耳から壁までの距離を測ってみてください。横向きの場合は仰向けよりも高さが必要になり、目安は4〜10cm程度です。実際に横になったときに、耳・肩・腰が一直線に並ぶ高さが合っているサインです。首だけが傾いていたり、逆に肩が浮いてしまっていたりする場合は、高さが合っていない可能性があります。
うつ伏せで寝ることが多い方は、そもそも枕は低めが基本です。目安は0.5〜3cm程度で、高すぎる枕は首を不自然にねじる原因になります。うつ伏せの頻度が高い方は、思い切って枕を使わない、あるいは極薄のものに変えてみるのも選択肢のひとつです。
なお、肩幅が広い方はやや高め、狭い方はやや低めが合いやすい傾向があります。また、使っているマットレスが柔らかく体が沈み込みやすい場合は、その分だけ枕は低め、逆に硬めのマットレスの場合はやや高めが合いやすくなる点も覚えておくと、調整の精度が上がります。
今の枕を、買い替えずに調整してみる
測ってみて「今の枕は高すぎる、あるいは低すぎるかもしれない」と感じても、すぐに買い替える必要はありません。まずはタオルを使った応急調整を試してみてください。
枕が低いと感じる場合は、バスタオルを枕の下に一枚敷いてみましょう。厚みを少しずつ足しながら、朝起きたときの首や肩の重だるさが軽くなるかを数日かけて確認してみてください。
枕が高いと感じる場合は、逆に枕そのものの下ではなく、肩からうなじにかけてタオルを薄く敷き、首と枕の間にできる隙間を埋めるようにしてみてください。枕の高さを削ることはできなくても、こうして間隔を狭めることで、実質的に負担を減らすことができます。
この調整を1〜2週間ほど続けてみて、それでも違和感が続くようであれば、それは今の枕がそもそも自分の体格や寝姿勢に合っていないサインです。買い替えを検討する際の判断材料として、ぜひ今回測った自分の目安の高さを参考にしてみてください。
在宅ワークの姿勢と夜の枕、二つのズレが重なるとき
テレワークだと、自宅の椅子やデスクの高さが体格に合っていないことも多く、気づかないうちに猫背や前傾姿勢になりやすいと指摘されています出典:EXGEL SEATING LAB「テレワークで腰痛・肩こりが悪化!?クッションを活用して自宅でも疲れにくいデスクワークを」。日中そうした姿勢で負担を受けた首や肩は、本来なら夜の睡眠でしっかり休ませたいところです。ですが枕の高さが合っていないと、夜のあいだも頸椎が不自然な角度に置かれ続けてしまい、日中のこわばりが十分に緩まないまま朝を迎えることになりかねません。「デスクワークの首こり」と「夜の枕」は、つい別々の問題として考えてしまいがちですが、実際は一日を通して首や肩に負担をかけ続けているひと続きの流れとして捉えた方が、対策も見えやすくなる気がします。
一人暮らしだからこそ、自分の目で気づく必要がある
家族やパートナーと暮らしていれば、「その枕、最近ちょっと高すぎない?」「寝相変わったね」なんて、何気ない一言から不具合に気づかせてもらえることもあります。私も結婚する前の一人暮らしの時期は、そうした指摘をしてくれる人がいなかったので、自分の体に出ているサインを頼りに気づくしかありませんでした。特に在宅ワークで一人暮らしだと、第三者の視点はまず期待できません。だからこそ、あらかじめどんなサインに注意すればいいかを知っておくことが、地味に大事だと感じています。
次のような項目に心当たりがあれば、今使っている枕の高さが体に合っていない可能性を一度疑ってみてもいいかもしれません。
- 寝ている間に無意識に枕を外している、または丸めて高さを変えている
- 家族や同居人から指摘された経験がなく、枕を買い替えたのが何年も前である
- デスクワーク後の夕方から夜にかけて首・肩のだるさが強く、翌朝もあまり回復していない
複数当てはまる場合は、寝具そのものを見直すより先に、まず「高さ」という切り口でチェックしてみる価値があると言われています出典:マイまくらマガジン「枕の高さをセルフチェックしよう!枕の高さの調整方法と枕を選ぶポイント」。
まとめ
枕の高さが合っていないと、いびきや首の痛み、肩こり、寝ている間の頭痛など、さまざまな不調につながる可能性があると指摘されています。とはいえ、これらはあくまで「そう指摘されている」傾向の話であり、不調の原因は人によって違いますし、思い当たる症状が続く場合は無理に自己判断で済ませず、専門家に相談してみるのも一つの手だと思います。特に在宅ワーカーは日中のデスクワーク姿勢によってすでに首・肩に負担がかかりやすく、そこに合わない枕が重なることで不調が抜けにくくなる点には注意しておきたいところです。また一人暮らしでは、枕の不具合を教えてくれる人がいない分、自分の症状から気づく意識がより大切になってくると、身をもって感じています。
「自分に合う高さの枕がどんなものか具体的に知りたい」という方は、在宅ワーカー・肩こり持ちの視点で比較した以下のランキング記事もあわせて参考にしてみてください。
枕おすすめランキング【肩こりに悩む在宅ワーカー向け】では、高さ調整のしやすさや素材の違いに注目しながら、具体的な商品を比較しています。
実際にセルフチェックしてみたい方は、こちらのセルフチェックリストもあわせてご覧ください。


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